電装系アップデート
先日の記事は初めてのテクニカル系記事でしたね。書いてる人的にはどんどん技術ネタは放出していきたいと考えているのでこれからいろんなことについて触れていきたいと思います。
さて、KV-BIKEの電装系アップデートですが主に2つあるので今回と次回の2回でまとめていきたいと思います。
エコラン競技ではレース前にフル充電したバッテリーを渡され、そのバッテリーをレース終了時間ぴったしに使いきれるかがカギになります。
エコラン車両には軽量化等の観点から基本的には変速機(自転車でいうシフター)がついていません。つまりギア比が変更できないのです。一方、動力であるモーターはエコラン競技では3相ブラシレスDCモーターが多く採用されており、レース中はモーターコントローラに内蔵されているPWM機能で回転数を0-100%に可変させることができます。
ここで察しのいい人なら気づくと思いますがエコラン車両は走行前のセッティングで決められた最高速度より上の速度は出せないのです。しかも、モーターの回転数は電池電圧に比例するのでレース後半で電池電圧が下がってくると比例して速度も落ちてしまいます。
最適なセッティング等がわかっていれば何の問題もないのですが実際には風が吹いたり、ほかの車両を追い越したりしなければいけないので戦略を広げるためにも速度アップ手段が欲しくなってきます。
この問題に対応するためにはいくつかの手段があり、
①可変界磁機構
②進角制御
③DCDCコンバータによる昇圧
などいろいろあります。
①はモーターのコア(鉄心)を引き出すことで回転数を変化させる方法ですが機構が複雑さや効率などの観点からスルーしました。
②はモーターコントローラの機能になり、市販されているものでも進角機能がついているものはありますが、回転数の増加量はほかの方式と比べてもそこまで大きくありません。(速度アップ以外にもメリットがあるので採用しました)
③は昇圧コンバータを回路に組み込むことで電圧を昇圧させる方式ですがコンバータ自体の損失が大きく影響するため簡単には採用できません。
上にあげたようにいろんな方式がありますが今回チームとして③の応用編を採用しました。24V-3.3Vの絶縁型DCDC降圧コンバータを使用する方式です。初めて聞く方はびっくりするかもしれませんがかなりトリッキーな仕組みでWorldEconoMoveGPで10年以上前に編み出された技です。
仕組みとしては絶縁型DCDCコンバータから出力される3.3Vを電源回路に組み込むことで24+3.3V=27.3Vとなります。この回路の大きな特徴はDCDCコンバータの変換効率が多少悪くても電源回路全体から見れば大した損失ではなくなるという点です。例えば効率が90%のDCDCを使用した場合、電源である24V系は当然効率100%なので
(24×1+3.3×0.9)/(24+3.3)=0.987
となり、結果的に回路全体で見ると98.7%となります。
DCDCコンバータ本体と切り替えスイッチが必要なので重量が増加してしまいますがもともと軽いので問題ナシ。夏の試走でもしっかりと昇圧動作が確認できました。
だいぶ量がかさみましたがこれが電装系アップデートその1になります。
その2が一番の目玉なので今回以上にボリューミーになりそうな気がします。。。
最近またコロナ感染が広まってきていますが来年の大会に影響しなければいいですね。