TeamCNE

省エネレースチームのぶろぐです

コントロール基板

前回はパワー基板について書きましたので今回はコントロール基板について書いていきます。

 

コントロール基板では24Vから12V、5Vを生成し、マイコンを駆動したりしています。ここで12Vは前回説明したゲートドライバIC用、5Vはマイコン用となります。もちろん12V、5Vを生成する降圧コンバータも電力を消費する部品になるので用途に合わせて設計や選定をしていきます。

 

さてマイコンについてですが現在ではいろいろなメーカーからいろんな種類のマイコンが販売されていますがその中から今回セレクトしたのはルネサス社のRL78/G14です。ルネサス社からは様々なマイコンを出しており、その中でもRL78シリーズは低消費電力、高性能、様々な機能を搭載しているなどのことから選定しました。

 

ルネサスマイコンにはCS+という統合開発環境が用意されておりある程度の設定はソフトが自動でプログラムされたりとはじめてでも扱いやすくなっています。そして何より日本語で動くのが一番大きいです笑。現在書いてる人は別件でTexas Instruments社(アメリカ)のマイコンを使ってるのですがこちらは英語しかなくて大変です。

 

コントロール基板はプログラムさえしっかりできていれば問題なく動くのでパワー基板よりもトラブルは少なかった気がします。

 

ここでコントロール基板についてはほぼネタ切れなのモーターの駆動方法について考えたいと思います。

 

モーターの駆動方法の代表的なものとしては

・120度通電

・正弦波通電

・ベクトル制御

があります。難易度は下に行くにつれて上がりますがその分制御効率もよくなります。

120度通電は前にさらっと説明した通り電気角120度ごとについた3つのホールセンサから位置情報を割り出して制御します。この時、3つのホールセンサから読み取れる値は2進数表記で001~110の六通り(正確には000と111もあるがこれはエラーパターン)なので6通りのスイッチングパターンを用意しておき、その位置に合わせたスイッチングを実行することになります。この制御方法は比較的簡単なのですが3相のうち1相は必ず通電しない区間が出てきます。そのコイルが振動して騒音や効率低下を招きます。

一方のベクトル制御では制御方法がガラッと変わります。ここからは少し難しくなるので覚悟してください笑。

 

ベクトル制御ではモーターのトルク成分を制御します。話だけなら簡単なのですが実際にやるととても大変になります。まずは3相のモーターモデルを相電流や回転数などの情報から2相の直流電流の直交座標(x軸:q軸、y軸:d軸)に変換します。この時のq軸電流(Iq)がトルク成分、d軸電流(Id)が励磁成分となります。ここでエコランのモーターなどで使われるSPMモーター(表面永久磁石型同期モーター)はリラクタンストルクとマグネットトルクが等しいのでIdを0になるようにPI制御をすることでIqであるトルク成分を制御することができるようになります。Id,Iqが計算できたら今度は2相直交座標から3相座標に変換してようやくスイッチング波形が決まることになります。

ベクトル制御の利点としては同じ電流でも最大のトルクが出るような制御をしているので効率がよりよくなるということです。また制御の性質上、位置推定はエンコーダやセンサレスが主流となっています。ホールセンサーでもできないことはないけど。

 

まぁベクトル制御は理解や制御など様々な点から見ても本当に難しいのですがソーラーカーレースなどでは海外チームの主流になっています。ほかにも市販されている電気自動車などもベクトル制御が多いそうです。

 

でもd軸とq軸の考え方はモーターの基本でもあるのでそこはしっかり押さえておきたいですね。ちなみにIdを負にするとコイルの磁界と磁石の磁界が打ち消しあって弱まり結果的に回転数が上昇するのが弱め磁界制御です。逆に正の方向に増やすと磁束飽和を起こしてしまい効率の低下が予想できます。

 

ルネサスマイコンでもベクトル制御用のマイコンがあったりするので時間があったらチャレンジしてみたいですね。